私たちは、畳の上に座る時、安らぎを感じます。
ゆか座(畳やジュウタンの上に座る様式)は、古くから日本の生活に溶け込んだ生活様式です。長い歴史を持っている畳は、空気の浄化作用、耐久性、安全性、快適性、保温・遮断効果など、さまざまな利点があります。これらの性質から、畳は四季の変化に富み、高温多湿という日本の気候・風土に適した敷物であるといわれています。
 近年、生活の多様化で住まい方も大きく変化してきましたが、畳志向は相変わらず根強く続いています。ここで、もう一度、畳の良さを見直すために、主な特長をご紹介します。
 

畳が室内の空気を浄化。
●二酸化窒素(NO2)吸着能力
 畳には、大気汚染の元凶であり、人間の健康に悪い影響を与える二酸化窒素を吸着し、空気を浄化する作用があります。東大工学部西村研究室では、人気のない部屋は、人のいる部屋に比べて二酸化窒素の濃度が2分の1しかないことから、室内には二酸化窒素を吸着する物質が存在していると考えました。
吸着された二酸化窒素は、畳表がもつ何らかの科学的な効果によって除去されているようです。畳が、知らず知らずのうちに室内環境の浄化をしてくれていたわけです。
い草に抗菌性。
 熊本県八代市の八代工業高等専門学校生物工学科の研究グループは、い草の食品化、機能性(効果)などの研究からい草の成分に病原性大腸菌O157やサルモネラ菌など食中毒を引き起こす病原菌に対する抗菌性があることを発見しました。機能性研究の一環として、既に食品として活用しているい草の粉末に水を加えて抽出、ろ過した少量のい草抽出液を染み込ませた紙を病原性大腸菌O157を培養した寒天培地の上に置き、気温30度で15時間培養した。その結果、14種類の細菌のうちサルモネラ菌や大腸菌、黄色ブドウ球菌など10種類の抽出液の周囲に細菌が集まらない「阻止円」があることを確認し、抽出液によって細菌が繁殖していないことを発見しました。また、い草がアルコールや甘味料の製造に欠かせない酵素「グリコアミラーゼ」の培養基質に適していることも確認してます。
畳表にはアロマセラピー効果があります。
 新しい畳表から発するい草独特の香りの芳香成分には、現代社会で疲れ切った私たちの心と体を清々しく落ち着かせてくれる「アロマセラピー効果」があります。
骨粗しょう症予防に一役、畳生活。
 日本式の畳や床の生活が骨粗しょう症の予防につながるという研究結果を辻学園栄養専門学校中央研究室の広田教授(臨床栄養学)らが米国骨ミネラル学会で発表。成長期の小学生約550人の骨重を調査、体格の違いを除く個人差の要因を分析したところ畳や床の上で生活する時間の多い子ほどイス・ソファ中心の場合に比べて骨重の値が高く、1年後の骨重の増加量も約2倍、骨折の頻度も半分以下だったと報告されています。骨粗しょう症は中高年女性に多いが、成長期の骨重の値が高いほど、年をとっても骨粗しょう症の発症が少なく、成長期までの畳生活がなんらかの影響を与えていることがわかりました。

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